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佐田岬の鬼:真風日記

「つきぬ恨みは塩成沖よ!」

今日、6月20日は前回お話したデラ台風襲来の日です。


宇和海で最悪の海難事故の舞台が川之浜~塩成の前浜であったとは。


被害者の多くが宇和島市の日振島周辺の漁師で、台風が去った後、乳飲み子を抱いた女性が何人も泣きながら帰らぬ夫を探す姿が、しらぱーのビーチで何日も続いたそうです。


「つきぬ恨みは塩成沖よ」と悲しい口説(くどき)歌も歌われ、日振島周辺では毎年6月20日に慰霊祭がおこなわれているそうです。


今回も同じようなコースを北上接近中!


「梅雨には台風は来ない」迷信を信じてはいけません。


安全第一!福善船団今晩は八幡浜港に避難です。


デラ台風口説

思い出せば身も毛もよだつ 聞くも語るも涙のもとよ
いとも哀れなその物語 時は昭和の二十四年
五月時雨の三十一日に 突如起こりしデラ台風は
海の彼方の塩成沖で 血気盛んな日振の人の
百と有余の生命をうばう つきぬ恨みは塩成沖よ
貝が鳴る鳴る出舟の貝が 集い網子のその数は
元気あふるる五十と有余 仕度調い友綱解けば
それが今世の別れとなろと 神でない身の知るよしもなく
いつも変わらぬ姿と笑顔 見せて我が家を出でにけり
それとも知らぬ網子の者は 調子揃えて湧く声
たが知るべきその日の出船 死出の旅路と成り果てるとは
調子揃えてろ声も高く 港とはずれば本船よりは
渡すこぎ綱しっかと掛けて うなるエンジン黒煙はいて
錨下して灯具を入れる その日北東(きたごち)やや強くして
台風来るの予告はあれど 日和見るぞを自信を持って
島の漁師は諺信じ 五月中ばに台風来ぬと
心許して船出をしたり それが悲しい事態の起り
時はいつしか早や真夜中よ どっと吹き来る時雨と共に
風は北東うなりを立てて どっと逆巻く台風来る
変わる姿は阿鼻驚嘆よ 死する今際の夫や親や
兄や弟の気持ちはいかに 生る望みを断たれた今も
親は子を呼び子は親を呼ぶ 兄は弟を弟は兄を
呼んだ事だろあの時あの夜 それを思えば鬼神と言えど
泣いて呉れるな御霊の前に 吹くや潮風まともに受けて
鍛えあげたる度胸と腕も 人の力に限りがあれば
情け知らずの激動の為に 哀れ空しく塩成沖の
海の藻屑と消え果にけり 余波の嵐に散り行く花よ
知れば行くまい行かせもすまい 止めもしたでしょう止りもしたに
家を出る時別れと知れば 可愛い妻子や親兄弟に
話したい事あったでしょうに 夢でなりとももう一度だけ
見せてください貴方の顔を どうせかなわぬ事とは知れど
思いますぞえ遺族の者は 百と有余の御霊よ早く
帰り来たまえ我が故郷へ 祈る心は一つとなりて
我ら集る今夜はここに 供養しますぞ諸霊の為に

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なんと恐ろしく悲しい歌・・・・・・
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  1. 2013/06/20(木) 09:58:13|
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